まつげ(まつ毛)発毛剤『グラッシュビスタ』と『ルミガン』の効果や色素沈着(黒ずみ)などの副作用について
2020/04/17
グラッシュビスタについて
以前は「ラティース」という名前で米国では販売されていた薬剤が、日本では厚生労働省からの認可を受け、別名称でまつげ貧毛症治療薬として発売を開始したのがグラッシュビスタです。グラッシュビスタは、従来緑内障を治療するための点眼薬として処方されていたビマトプロスト(Bimatoprost)が持っている、まつげ成長作用に着目してアメリカで開発された医薬品です(現在出回っているのは国内製品です)。使用方法としては、メイクを落とし、コンタクトレンズを外した状態で1日1回上まつげの生え際(※)へ塗布します。生まれつきまつげが短い・少ない・細いという場合だけでなく、メイクや刺激によるまつげへのダメージや、化学療法・薬の副作用などによるまつげの脱毛などにも効果が認められています。一般的なまつげ美容液とは異なり “医療目的で開発された薬”という位置づけとなっているため、薬店やドラッグストアでは市販されていません。医師の診察によって「まつげ貧毛症またはそれに準じる状態である」と診断された場合に処方を受けることができます。また、厚生労働省の認可は受けているものの保険適用はされていないため、5ml入りで2万円前後~とやや高額な価格設定になっています。副作用としてまれにかゆみ・充血・目の渇き・まぶたの黒ずみ・違和感などが発生することがあるという報告があります。しかし、グラッシュビスタはもともと点眼薬として用いられていた薬であることから塗布中に目に入ってしまっても問題はなく、医師の指導のもとでの使用であれば安全な薬として流通しています。
※:下まぶたは皮膚が薄く色素沈着を起こす可能性があるため、下まつげの生え際への塗布は推奨されていません。上まつげの生え際に塗布した薬剤がまばたきによって下まつげの生え際へも付着するため、上下両方のまつげへの効果があるとされています。
まつげのヘアサイクルについて
まつげには、毛髪と同じように寿命があります。まつげが生え始めてから抜けるまでの過程をヘアサイクル(毛周期)と呼び、基本的にはまつげが太く長く成長する期間は40日ほどと言われています。まつげのヘアサイクルは、生え始める→成長する→成長が止まる→現状維持→抜けるという、5つのステップを経て変化していきます。まつげが生え始めてから成長する時期は「成長期」ですが、その後は成長が止まり抜け現状維持する期間を「退行期」に入ります。「退行期」はおよそ80日。退行期を過ぎるとまつげは抜け、また新しいまつげに生え変わります。もちろんこれには個人差があり、まつげのヘアサイクルは人により多少異なりますが、まつげは抜けるまでの間ずっと伸び続けるのではなく、成長が止まり現状維持する期間が意外と長いことがわかります。それでは、グラッシュビスタがまつげの成長にどう作用するのでしょうか。グラッシュビスタは、まつげのヘアサイクルに影響を及ぼし、効果が期待できるとされています。もう少し具体的に言うと、グラッシュビスタに含まれる”ビマトプロスト”という成分は、まつげのヘアサイクルの成長期を延長してくれる作用があります。そのため、成長期を伸ばすぶん、通常の状態よりも長く太く育ち、見た目にも濃く変化するようになるのです。
ルミガンについて
ルミガンは緑内障の治療用に使われている点眼薬を指します。ビマトプロスト0.03%という成分はグラッシュビスタと同様です。まつげ貧毛症治療薬として開発されたグラッシュビスタと違ってあくまで「緑内障の治療に用いる薬」なので、緑内障と診断されてルミガンが処方される場合には保険適用となります。しかし、まつげ発毛剤として使用したい場合には本来の医療目的とは用途が異なるため、保険の適用外となってしまいます。美容クリニックや皮膚科などで購入すると1本あたり1万円前後から入手することができます。緑内障用に処方されるのは日本製の2.5ml容量のもの、美容クリニックや個人輸入で扱われるのはアメリカ製の3ml容量のものであることがほとんどで、現在日本で手に入るルミガンはこの2タイプのみとなっています。ルミガンと同成分のジェネリック品として、インドの製薬会社が製造する「ケアプロスト」「ビマトアイドロップス」「ガンフォート」などという製品もあります。安価であるという理由で話題を集めていましたが、ルミガン自体が値下がりしたために、以前より価格の差は少なくなっています。尚、グラッシュビスタ・ルミガンともに継続塗布をすることによってまつげへの効果が得られるものであるため、使用を中止するとまつげは徐々に元の状態に戻っていくことがわかっています。
グラッシュビスタとルミガンの違いは?
成分が同じである、グラッシュビスタとルミガン。一体どこが異なるのでしょうか?両者の大きな違いとして挙げられるのは、“適応症(治療の効果が期待できる症状)”に関する点です。グラッシュビスタはまつげ貧毛症への適応が認められているため、万が一副作用などが起きた際には「医薬品副作用被害救済制度及び製造物責任法」という制度によって救済給付が受けられます。一方、ルミガンの適応症は緑内障・高眼圧症であるため、まつげ貧毛症の改善に使いたい場合については救済給付の対象とはなりません。その他、両者の違いを一覧にすると次のようになります。
グラッシュビスタ | ルミガン | |
成分規格 | ビマトプロスト0.03% | ビマトプロスト0.03% |
内容量 | 5ml | 2.5ml |
付属品など | 塗布専用アプリケーター | なし |
適応症 | まつげ貧毛症 | 緑内障・高眼圧症(保険適応) |
まつげ貧毛症に対する救済制度 | あり | なし |
入手方法 | 医師の処方(美容クリニック等) | 医師の処方 保険診療(眼科等) 自由診療(美容クリニック等) |
価格(診察料含む) | 2万円前後~(自由診療) | 1万円前後~(自由診療) |
まとめ
ストレスやダメージなどでまつげに自信がない人の強い味方となってくれる『グラッシュビスタ』と『ルミガン』についてご紹介しました。それぞれの特徴や違いについてお分かりいただけたでしょうか?正しい知識を持って、自分に合うまつげ発毛剤を選んでみてくださいね。